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zoom RSS 読書は倒錯者のために

<<   作成日時 : 2006/10/29 21:24   >>

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「若者の本離れ」なる煽り文句をよく見かけます。このことについて考えてみます。

僕などは本を読んでいる側ですが、実際のところ、僕よりも若い高校生などに本を薦めるとなると迷います。まさか幾ら個人的に好きだからといって『英霊の聲』を読ませるわけにはいきませんし、だからといって何の毒気も無い新書が楽しまれるとも思えません。結局のところ、上手く読書に引き込むところに見えない障壁があるのだと思います。実用書や雑誌を読んで十分なリターンが得られるにもかかわらず、わざわざ小難しい本を読むなんてのは異常です。

ただし、解消しておかなければならない誤解はあるように思います。通常、読書は真面目なもので、真面目な人間が真面目な内容のものを読むと思われがちですけど、これは多分ウソです。どちらかといえば、妄想狂のド変態が自分自身の性癖をこっそりと残し、そこに共鳴する変態連中が密かに伝え残してきたものだと見做すほうが自然です。

こういうことは、最古の小説の一つと言われる『サテュリコン』を読むだけでも分かります。「なんだ、たかが一冊程度がどうしたんだ」と疑問に感じる人もいるでしょうけど、2000年近くも受け継がれてきた一冊には何十世代もの賛同が含まれてますから、そこらの本とは事情が異なります。人間の本質に関わる、ある種の普遍性が込められていると考えるべきです。

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岩波から出ている『サテュリコン』の冒頭にあるキャラクター紹介はこんな具合です。三名分ほど引用します(カッコ内は僕が付加しました)。

エンコルピオス……主人公で語り手でもある放浪学生。「抱かれる人」というギリシア語の意味のとおり、どんな男女にも身をまかす無節操な男。プリアポス神を冒涜して不能の罰を受け、泥棒、詐欺、食客などでその日暮らしをしながら、司直の手から逃げまわっている。

アスキュルトス……エンコルピオスの同伴者であったが、ギトン(16歳の巻き毛の美少年)をめぐって喧嘩別れをする。「決してへこたれない人」という意味のギリシア語の名前どおり、巨大な一物を持つ図々しいすれっからし。

トリマルキオン……全篇でもっとも興味深い人物で、饗宴の主人。その名はセム語に由来し、「三度祝福された人」という意味のこと。少年のころ奴隷としてローマに来ると、一代で身上を築いた解放奴隷。客に気前よく寛大にふるまうが、迷信深く人を金で評価し、なにごとにつけ上流階級の模倣をし、見栄をはる俗人。

その他、様々な異常者が登場します。こういうものを引き受けるだけの精神的な余裕が、若い学生にあるとは思えません。これほどのものでなくても、多くの作品は30歳とか40歳の人が必死こいて書いてるわけですから、10代そこそこで楽しめるはずがありません。小中学生がエロ本を親に隠れて覗き見るように、消極的に進んでいくのが健全な姿だと思います。問題にするとしたら、「中高年の読書離れ」の方でしょう。倒錯性の一つも持たない大人ばかりになったら無味乾燥ですよ。


参考:
「1か月読書せず」49%、若者の本離れ進む
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061029it11.htm

贅沢を極める
http://www.bunshun.co.jp/series/essay/dokushoike002.htm

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