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<<   作成日時 : 2007/02/26 11:59   >>

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1ヶ月ぶりくらいに読書感想文です。この『ドグラ・マグラ』を買ったの自体はかなり前だったにも関わらず、ずっと積んだままにしていました。ネタバレ要素を含みますのでご注意ください。

ドグラ・マグラ (上)ドグラ・マグラ (上)
夢野 久作

角川書店 1976-10
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奇書中の奇書と称される作品です。しかし、僕は奇怪性はほとんど抱きませんでした。読書傾向が少しズレているからかもしれませんが、『豊饒の海』の2と4の間のように感じました。これは、輪廻転生が作品のテーマの中でもかなり大部分を占めているということと、時代性、そして作中作などが大いに関係しているからだと思います。そんなわけで、抵抗無くスイスイと読み進めることができました。

最も驚嘆に値するのは、この作品が書かれた時期です。1920年代に構想開始し、1935年に出版されたということが信じられないほど21世紀の今でも十分すぎるほど通用する新しさがあります。特に、作品の端々で開陳される「脳髄論」は、刊行当時の人々よりも、携帯を初めとするコンピュータの発達やES細胞などのバイオ研究に関する知識を持つ我々の方が馴染めること請け合いです。今や、自分で考えるよりも外部のコンピュータによって「考えられた」その成果物をまとめて利用する(このまとめるところは確かに考えているわけですが)ことの方が多いですからね。

作品の中身に移ります。主人公は、結局のところ記憶を回復せず、永久に反射し続ける光線のような存在として作品という鏡張りの入れ物に封印されてしまっています。こういうことは通常では理解しかねることですが、過去の記憶を少し拡張して精神だけでなく肉体まで含めるものとしてみると、一応健常者として生活している僕なんかでも少し実感することができます。例えば、9歳くらいの自分の何気ない会話音声を聞いたとしましょう。映像だったら自分だと分かるかもしれませんが、声だったら何が何だか全く分からないこと請け合いです。状況証拠から「これは自分なんだ」と認識することはできても、実感は一切沸いてきません。こんな摩訶不思議な感覚が全部に拡張された状態を想像してみると、妙な不安感に囚われたりします。このような不安感をやや誇張して、「全部読むと発狂する」なんてキャッチコピーが生まれたのでしょうか。とにかく、普段生活していては起こらない感情が色々と巻き起こるのが、この作品の面白いところだと思います。

それにしても羨ましいと思ったのは綺麗な擬古文(って言えばいいんですよね恐らく)や漢文訓読体を使いこなしている作者の能力です。日本人であるからには習得したいなと常々思ってはいても、なかなか上手くいきません。どうやって身につけたらいいんでしょうか。

まとまりがなくなってきたので終わります。そうそう、この本の表紙を描いた米倉斉加年氏のお孫さんと僕はお友達だったりします。不思議な縁を感じました。あと書き忘れてたんですが、リーフの『痕』やKeyの『Air』なんかは、かなり『ドグラ・マグラ』を下敷きにしている感があります。この手のゲームが好きな人は是非読んでみてください。


ドグラ・マグラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%A9

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>最も驚嘆に値するのは、この作品が書かれた時期です。1920年代に構想開始し、1935年に出版されたということが信じられないほど21世紀の今でも十分すぎるほど通用する新しさがあります。

自分も、まったく同じ感想をこの本について持ちました!漢文のところはそのまますっとばしてしまいましたが・・・理系なものでoTZ
通りすがり
2008/11/08 15:30

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