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zoom RSS アナログ映像の清らかさ

<<   作成日時 : 2006/08/10 19:27   >>

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僕が好きなテレビ番組の中に、「NHKアーカイブス」があります。日曜深夜に放映しており、昔の良作を楽しむことができるのです。70年代などのものを見ると、自分が生まれる前のテレビがどんなものだったか分かるのも魅力です。

前回(8月6日)は以下の番組を放映しました。

平和アーカイブス
http://www.nhk.or.jp/archives/program/back060806.htm

このうち前者が特に感動的でした。何が感動的かというと、物語性がどうとか以前に、アナログのカラー映像のあの滲んだ雰囲気です。白黒映像にどこか荒んだイメージが付きまとうのに、昔のカラー映像にはそれがありません。例えば、このところ発掘されつつある戦前日本のカラー映像などを見ると、その清らかさは顕著でして、「やっぱり昔の日本も日本じゃないの」という優しい爽快感も生まれます。

これに加えて、この「爆撃機ローンサム・レディ号 〜広島原爆秘話〜」は物語性も極めて豊かでした。原爆というと、このご時世では「被爆者の苦しみ」や「特定アジア地域の被爆者」といった文脈がどうしても付加されてしまうのに対して(悪いとは言いませんし、必要なのも事実ですけど、もっと違った側面を知りたいという気持ちも当然あります)、これは違いました。もちろん、戦争が悲惨であることは主張されるべきとはいえ、その描き方が違うのです。ここにおいて主に焦点を当てられていたのは、撃墜された爆撃機から脱出したアメリカ兵であり、そこに、彼らと関わった元憲兵の方達をもう一つの焦点と設定して、遺品である「懐中時計」にて楕円を描いたという感じなんですよ(拙い言い方ですいません)。こういう奇跡的な軌跡が49分の中で無駄なく表現されているのを見て、芸術的な興奮を覚えました。大体、不謹慎を承知で言うと、「原爆に殺されたアメリカ兵」という表現には、「暗黒の太陽」のような、詩的な響きがあります。いきおい、アメリカを旅する記者は吟遊詩人に見えてきます。こういうテレビ番組って今はほとんど無いですよね。新鮮でした。

ところで、テレビ番組は、色々な意味で面白くなければなりません。それに留まらず、時には挑発的でさえあるべきです(ただし、放送法や様々なガイドラインの枠内において)。これは、昔から一緒です。となると、昔の番組にも見るべきものが多いと考えるのが自然です。特に、こういう自伝的随筆を読むと、強くそう思います。

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佐藤 孝吉

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「アメリカ横断・ウルトラクイズ」をご存知の方は多いでしょう。この番組のディレクターの方の作品です。詳しいことは読んでもらうとして、やっぱり、テレビが黎明期から完全に浸透するまでの間の試行錯誤ってのには凄いものがあるんですよ。この時期に、多くの人の興味を引いて離さないものを作ったからこそ、今のテレビがあるのだと思います。娯楽が少なくてテレビしか無かったんじゃなくて、本当に面白かったに決まってます。権利的障害を解決して、どんどん再放送すればいいのに、なんでやらないんでしょうかね。比べられたときに、見えてはいけないものが浮き彫りになってしまうからでしょうか。そういう理由で名作が忘れ去られるのだとしたら、残念でなりません。

僕くらいの世代になると、テレビやテレビ受像機(ビデオゲームのこと)で育ってきた人が多いはずです。しかるに、なぜその自分の生育環境において重大な役割を果たしてきたものの成り立ちについて興味を持つ人が少ないんでしょうか。「伝説のプロデューサー」なんてコミカルな扱い方は無しにして、アーカイブをどんどん公開した方が、世のため人のためになるはずです。自分が生まれた日のテレビとか、見てみたいと思いませんかね?僕は思いますよ。


補足:
「憲兵」という単語からダーティなイメージを想像される方は多いかもしれませんが、この「爆撃機ローンサム・レディ号 〜広島原爆秘話〜」においては、たとえ原爆を落とした国の兵士であろうと、真摯に向き合い、治療等を施した実像が描かれていました。当たり前とはいえ、決して短絡的に虐待を加えたりすることはせず、「女子供が焼かれているぞ、お前はどう思うんだ!?」と英語で問答したエピソードなどを知り、自分の不勉強を恥じました。この戦争の時代についてのことって、まだまだ多くのことが埋もれたままです。上手い光の当て方をしたら、芸術的かつメッセージ性もあるような、面白い作品が出来るんじゃないでしょうか(芸術の世界に持っていくのは不適当でしょうけどね)。

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