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zoom RSS 硫黄島を知るために

<<   作成日時 : 2006/12/13 23:45   >>

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『硫黄島からの手紙』を見てきました。期待通りの映画だったと思います。圧巻は戦場の空気感で、自分まで吹き飛ぶのではないかと錯覚するほどの迫力がありました。このあたりは映画ならではでしょう。以下は若干のネタバレを含みます。

芝居には文句の付けようがなく、また、『父親達の星条旗』との繋がりも上手く解消されており、映画作品としては十二分すぎるレベルだと思います。しかし、難点を挙げるとするならば、「5日で陥落すると言われた島を……」と言いつつ、時間の描き方がのっぺりとしすぎていて、まるで1日のうちの出来事のように感じられてしまうところです。また、硫黄島では、これまでも何度か扱ってきたように、ドラマティックなことが色々あったにも関わらず、それらがほぼ完全に切り捨てられていることも、この「のっぺり感」に寄与していると思われます。もちろん、戦場にいた方からすれば昼も夜もあったものではないというのが実情でしょうけれど、もうちょっと何か描かれても良かったかなというのが正直なところです。あとは、リアリティを出すための措置としてのBGMも少なさがマイナスに作用していたと思いました。実録のドキュメンタリーではない以上、登場人物の心情を代弁するような楽曲がもう少しあってもクオリティを落とすことには繋がらなかったはずです。穿った見方をすれば、「よくできた戦場体験アトラクション」とでもなるのでしょうか。

僕としては、硫黄島に関しては以下の作品群が優れていたと思っています。

NHKスペシャル 硫黄島 玉砕戦~生還者 61年目の証言~NHKスペシャル 硫黄島 玉砕戦~生還者 61年目の証言~
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このうち、NHKスペシャルは夏に放送されたものですが、価格が高いものの、体験者への直接のインタビューと実録映像が圧巻です(『名をこそ惜しめ』のモデルとなった金井さん、『十七歳の硫黄島』を執筆された秋草さんのご両名も登場されています)。こういうものこそ今の時期での再放送や無料でのストリーミング配信をしたらより価値が増すだけに、セルDVDという形態はやや残念です。『大空のサムライ(下)』は後半に1:15の戦いを含めた硫黄島の記述が収められています。他の著作とは異なった視点からのものなので、一度読んでもバチは当たりません(『名をこそ惜しめ』は何度となく紹介しているので省きます)。

他にも硫黄島に関する書籍や映像は意外と数多くあり、中には学校などの図書館で手軽に鑑賞できるものも少なくありません(僕は「カラー秘録太平洋戦史」を大学で見ました)。今こうして硫黄島が映画で注目を浴びていますが、これを機にもっと色々なことが一つの常識として共有されることを願ってやみません。


補足:
上で時間の描かれ方について少し文句を書きました。これに関連してのことですが、簡単に時系列で並べてみます。

1945年 2月16日 準備砲爆撃開始
1945年 2月19日 米軍上陸
1945年 2月23日 米軍による占領予定日?
1945年 2月23日 米軍が擂鉢山に星条旗を立てる
1945年 2月24日 日本軍が日の丸を打ち立てる
1945年 2月24日 米軍が再度星条旗を立てる
1945年 2月25日 日本軍が今度は血染めの日の丸を打ち立てる
1945年 3月9〜10日 東京大空襲 死者約8万3000人
1945年 3月12日 名古屋大空襲 死者1238人
1945年 3月13日 大阪大空襲 死者3115人
1945年 3月15日 アメリカ軍完全占領発表
1945年 3月17日 神戸大空襲 死者2598人
1945年 3月19日 名古屋への再空襲 死者1037人
1945年 3月26日 日本軍による組織的戦闘終結
1945年 5月29日 硫黄島を基地とする護衛戦闘機を伴った横浜大空襲
1945年 8月15日 終戦
(1949年 1月1日 抗戦し続けていた最後の日本兵2名が投降する)

見ての通り、「一日でも遅らせることができれば……」との願いも虚しく、東京大空襲を初めとした都市爆撃は繰り返し行われてしまい、10万人近い方(もしくは超える)が亡くなりました。硫黄島を基地とする護衛戦闘機を伴った爆撃で亡くなられた方の数は、残念ながら、数だけ見る限りでは硫黄島が陥落する前よりもかなり少数です。こういうことを踏まえて、例えば、手紙を出しつつも本土は爆撃で壊滅しているといった描写もありえたのかなと個人的には思います。事実、B29の大編隊を呆然と見たという回想も残っていると聞きますし、今後はこういう方向性での特集が実現するかもしれません。


参考:
硫黄島の戦い
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AB%E9%BB%84%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

硫黄島探訪
http://www.iwojima.jp/

祖父の硫黄島戦闘体験記
http://www5f.biglobe.ne.jp/~iwojima/index.html

栗林中将の絵手紙(サウンドが再生されます)
http://www2.bbweb-arena.com/norisan/

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